シュトーレンづくりのためのタイムテーブル


時間
プロセス
内容
最低でも3〜4日前から フルーツミックスの漬け込み フルーツミックスを常備しておくといろいろなお菓子作りに重宝します。ドライフルーツは常温で長期保存がきくので、ナッツ類を入れない状態で早めに、多めに準備しておくといいでしょう。
思い立つのが遅かったというときでも、3〜4日漬け込んでおけば大丈夫。
前日 24h 小麦サワー生地の仕込みと発酵 仕込んでから丸一日、室温で放置しておきます。一回分だけ作るのはかなり少量になってしまって作りにくいので、小麦粉100g程度で作って、一回分ずつ小分けして冷凍しておくといいでしょう。
当日 前生地の仕込み レシピ参照
4h 前生地の発酵 画像参照。発酵のピークが過ぎ、生地がドロップダウンするまで
本生地の仕込みと捏ねあげ レシピ参照
40min. フロアータイム フルーツミックスを混ぜ込んだ本生地を休ませるため。乾燥を避けるようなものを掛けて温かい室内で静かに放置。
分割・丸め レシピ参照
30min. ベンチタイム シュトーレン1本分ずつに分割した生地を休ませるため。厚手のキャンパス地か布巾などの上に並べて乾燥を防ぐものを掛けて温かい室内で静かに放置。
一旦、なまこ型に成形 レシピ参照
10min ベンチタイム 一旦「なまこ」型に成型し、シュトーレン型に成型する前に生地を休ませるため。方法はベンチタイムに同じ。
シュトーレンの形に成形 レシピ参照
15〜20min. ホイロ 約30度で15分から20分程度。通常のパンの感覚でホイロを取ると大失敗するので要注意。(レシピ参照)
40〜50min. 焼成 レシピ参照
仕上げ レシピ参照
三日以上 シュトーレンの味を馴染ませる 熱がとれるまで室温で放置した後、ラップ等できっちり覆い、約三日おくとシュトーレンの味が馴染みだし、しっとりした食感になってきます。

*上記時間欄に※を記入してあるのは、仕込み量などによってそれぞれ所要時間が異なるためです。

賞味期限について:
クリスマスの4週前から少しずつ食べることを前提に作られているお菓子なので一ヶ月は日持ちしますが、やはり切ると乾燥していくので、おいしく食べるにはあまり長い間おかないほうがいいでしょう。

 

 
 ◆ シュトーレンの配合&準備する物
 

  

 


<使用する食材 >


今回取り上げさせていただくシュトーレンはイーストタイプのドレスデナーシュトーレン (Doresdner Stollen) です。

後ほど製法の所で詳しく説明しますが、日本の中種製パン法に近い方法で作ります。

【配合】 

  • Vorteig(フォアタイク:前生地) 

 

B. %

1Kg仕込み

500g仕込み

 小麦粉

50%

500g

250g

 イースト

2.5%

25g

12.5g

 ミルク

38%

380cc

190cc

 小麦サワー生地

5%

50g

25g

  
  • Haupteig(ハウプトタイク:本生地) 

 

B. %

1Kg仕込み

500g仕込み

 小麦粉

50%

500g

250g

 塩

0.6%

6g

3g

 砂糖

10%

100g

50g

 ミルク

6%

60cc

30cc

 スパイスミックス

0.8%

8g

4g

 無塩バター

35%

350g

175g

 フルーツミックス

100%

1Kg

500g

 

 <<配合補足説明>>

  • 小麦粉は準強力粉(フランスパン専用粉)を使います。もしこれが入手困難でしたら、予め薄力粉と強力粉を4:6で混合しておき、仕込みにご使用下さい。
  • イーストはドライイーストとして計算しています。生イーストをご使用の時は5%で計算して下さい。
  • 小麦サワー生地は、本来ですとライ麦粉・小麦粉・水・イーストで種継ぎを何回も繰り返し、約1週間近く発酵させた物です。ホームベーキングでは難しいと思われますので、ヨーグルトを使った簡易小麦サワー生地を紹介します。

      小麦粉       100% 
      イースト        1%
      プレーンヨーグルト  25% 
      塩           2% 
      水          38% 

    これを生地が水和まで(べた付きがなくなるぐらいまで)捏ね、室温で約1日放置して下さい。

べたつきがなくなる程度までこねた小麦サワー生地
ビニール袋に入れて4〜5時間経過した小麦サワー生地
(かなり膨らんでいる)
室温で約一日放置した 小麦サワー生地
(発酵が終了して高さがなくなっている)
こねた直後と一日経過したものを比較してください

このサワー生地は密封して冷凍庫で数カ月保存がききます。

  小麦サワー生地は一回の仕込み量ごとに分割して、すぐ使うもの以外は冷凍  

ミルクは一旦煮沸して適温になるまで冷ましてお使い下さい。

フルーツミックスは干しブドウ6、オレンジピール1、レモンピール1、クルミ1、ダイスカットアーモンド1の割合の物をラム酒付けしました。

フルーツミックスはラム酒漬けしておきます。ただこの時今回のシュトーレンはイーストタイプの物ですから、ラム酒の量が余り多いとイーストの働きを抑えたり、生地がベタベタになります。

ラム酒は対粉3〜5%位で良いと思います。500g仕込みなら15cc〜25ccです。

フルーツミックスに使用するレーズン(干しブドウ)の前処理として、3〜4%の食塩水に冬期1時間〜2時間(夏期30分〜1時間)浸けた後、2〜3回水洗いをし塩分をとり、ザル等で水切りを充分にしてからフルーツミックスの材料として使用する。

【準備する道具】

上記材料の他に準備する材料・道具として

  • (ステンレス)ボール
  • スケッパー
  • 麺棒(細目の物)
  • 刷毛
  • 油切りパッド
  • 無塩バター・・・・焼成後に溶かして塗る分として
  • 粉糖
  • グラニュー糖
  • バニラエッセンス

 

  

  
 ◆ 仕込み・発酵条件
 

 

 

(1)前生地(Vorteig)

 仕込み手順

  1. 全体量の50%の小麦粉を篩いに通して、ドライイーストを混ぜておく。
  2. 小麦粉サワー種を小さくちぎり、混ぜ合わせ易いようにする。
  3. ボールに一旦煮沸し適温まで冷ました牛乳を約半量入れ、小麦粉サワー種小麦粉(+ドライイースト)と最後に残り半量の牛乳を加え、軽く水和するまで(べた付きがなくなるまで)捏ねる。
前生地の材料を混ぜ合わせた直後
べたつきがなくなる程度までこねた前生地
(パンのようになめらかになるまでこねなくてよい)
 
発酵する前の前生地

 発酵条件

前生地捏上げ温度・・・・・25゜
発酵時間・・・・・・・・・4時間
前生地終点温度・・・・・・27゜*注

*注この時期、暖房してある室内でも4時間発酵後にこの温度にするのはちょっと難しいと思われます。

前生地をボールに入れ、ラップ等で覆い、27〜30゜位の温水にボールを浮かべて発酵させて下さい。

オーブンに発酵機能がない場合は深めの発泡スチロールの箱にお湯を張ったボールをいれ、その上に前生地を入れた容器を置き、温かい部屋で冷えないように毛布などで包んでおく。

 

発酵終了後の生地の状態はドロップしていて(生地が目一杯発酵し、沈んでしまった状態)、酸臭・酸味がかなりあります。

発酵途中の前生地(棒温度計で生地温を測る)   約4時間後発酵が終了し、本生地に混ぜ合わせるため前生地をちぎる

 

(2)本生地(Hauptteig)

 仕込み手順

  1. まず室温で柔らかくしておいたバターとスパイスミックスと割(塩+砂糖)をボールに入れ摺り合わし、クリーム状にする。
  2. 1に篩いを通した小麦粉を加えて混ぜ、「そぼろ」状にする。
  3. 2に牛乳、発酵終了した前生地を入れ捏ねる。(混ぜやすいように前生地を小さくちぎっておいても良い。)
  4. 軽くグルテンが結合するまで捏ねる。・・・・・・・・・・・・・・*注1

    そぼろ状にすり混ぜた状態   ちぎった前生地と本生地をこね合わせる   軽くグルテンが結合するまでこねられた本生地(注1参照)

  5. 捏ねられたら、フルーツミックスを生地の中側に押し込む感じで混ぜ合わしていく。この時のポイントは出来るだけフルーツを生地の表面上に出さないこと。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・*注2

    本生地にフルーツミックスを2〜3回に分けて混ぜ込む       フルーツミックスを混ぜ込んだ本生地

 発酵条件

本生地捏上げ温度:
28゜C
フロアータイム:

40分

フルーツミックスを混ぜ込んだ本生地を休ませるための時間です。
こねたボールの中に生地を置き、乾燥を防ぐようなものを掛けて静かに放置しておきます。

ベンチタイム:

30分+10分

生地の分割、丸めの後、更にその後再び成型できる状態にまで生地を修復させるための時間です。あれば製パン用のキャンパス地の上に並べ、乾燥を避けるようなものを掛けて静かに放置しておきます。
最初の30分はシュトーレン1本分の生地に分割して丸めた後に休ませる時間。その後の10分は、その生地を一旦「なまこ型」に成型してから休ませる時間です。


*注1ここの捏ね方で焼き上がったシュトーレンの性質がかなり異なってくる。グルテンを出さずさっくり混ぜるなら食感が「ケーキ」に近くなり、焼き上がりもずっしりと重くなる。
逆にグルテンを出す方向でしっかり捏ねれば食感が「パン」に近くなり、膨らみも良く柔らかくなる。

*注2ラム酒漬けのフルーツミックスのラム酒が多いと、イーストの働きを抑えたり、生地をべた付かせることがあるのでザル等で水切りをして下さい。
また生地に対して相当量のフルーツを加えますので、生地の捏上げ温度が適正であっても、フルーツミックスが冷えていれば捏上げ温度自体を下げてしまうことになります。ご注意下さい。