まず、今回させていただいたシュトーレンの技術的な補足を。
1.前生地の発酵不足
2.生地の硬さ
前生地の発酵不足についてですが、テキストにも書いていますように前生地の発酵終了時点では、発酵のピークが過ぎ生地自体がドロップダウンするぐらいの感じになります。この理由の1つに、発酵中生地が冷え、結果生地が未熟成になってしまったようです。
発酵器があればその温度を調整することで防ぐことは出来ますが、殆どの皆さんは発酵器を持ってられないように思います。発泡スチロールの箱に30゜前後のお湯を入れ、そこにボールに入れた生地を浮かべて発酵さすなど各自の環境で工夫してみて下さい。
また、冬場のこの時期ですと捏上げ温度、発酵温度が適温であっても回りの寒さの為、生地が冷え込んでしまう場合もあります。かえってこの時期ですと前生地の捏上げ温度24゜を1〜2゜持ち上げて25〜26゜で捏ね上げた方がよいかも知れません。
発酵不足と話しが絡んでくるのですが、生地が少し硬かったのではないかと思います。使う粉の銘柄、蛋白量によって異なってきますが前生地の牛乳の量を3%前後増やしてもいいような気がします。
ただ、生地が柔らかくなると若干発酵が早く進むことがありますのでご注意下さい。
★発酵温度等、シュトーレンに関して
まず、テキストでアップさせていただいた行程条件(発酵条件)に関することです。
あそこでアップさせていただいた条件はあくまで「理想的な」条件なんですですからそんなにシビアに考えなくても良いように思われます。
ただ設定条件が変わってきますと、当然の事ながら発酵時間も変わってきます。CHIKOTAN
のオーブンレンジの詳細が分かりかねますので詳しくコメントすることが出来ませんが、概ね次の2点を押さえて下さい。
1.前生地の発酵
発酵のピークが過ぎ、生地がドロップダウンするまで発酵させて下さい。
2.成形後のホイロ(仕上げ発酵)
成形した合わせ目の部分が微かに離れだすぐらいまで発酵させて下さい。この時発酵が過ぎると、合わせ目の部分が完全に離れ、焼成すると「わらじ」のような代物になってしまいます。
次にドイツでの各店毎の味の違いなんですが、同じ種類のシュトーレンを比較するならばさほど差異はないように思います。
私がシュトーレンに本格的に接したのは今から7年前でした。最初に教わったものから、基本的に配合は変えていませんが製法上細部に当たっての変更修正を5年ぐらい続けてきました。そう言った意味では皆さんに紹介させていただいたシュトーレンは「BAECKER流(風)」シュトーレンかも知れません。(味に関してはオリジナルと差はないと思いますが、食感の部分でかなり異なっていると思います。)
今回(1994/1/8に開催された料理フォーラムのクッキング・オフ“第2回「ベッカ里〜な土曜日」シュトーレン編”)やっこさん、里和さん、さわるさん、cannelleさんのシュトーレンを食べ比べてつくづく思いました。確かに「これがシュトーレンの基本配合・製法で・・・」って感じのシュトーレンもいいのですが、「10人十色のシュトーレン」でいいんじゃないかと思います。
改良した方がいいのではないかという点に関して、当日コメントさせていただきましたが、更に改良を重ねられて「***流(風)シュトーレン」の完成をお待ちしています。
私は「家庭の団欒の中のシュトーレン」と言うコンセプトでシュトーレンを焼き続けてきました。今回紹介させていただいたシュトーレンも皆さんの「作ることの喜び」、また、家庭の団欒の中何か会話が生まれてくる・・・そう言った存在になれば嬉しく思います。
|